地域医療を支える病院経営へ
セコムSMASHで機能と収益を可視化 PR

第28回日本医療マネジメント学会学術総会のランチョンセミナーで、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院の佐藤公治院長が座長を務め、セコム医療システム株式会社顧問、国立病院機構埼玉病院名誉院長の関塚永一氏(写真)が講演した。病院存続の危機が現実のものとなる中、自院の機能と地域での役割を経営データとして可視化し、具体的な経営判断につなげる手段として、病院経営情報分析システム「セコムSMASH」の活用を紹介した。経営を「量(延べ患者数)」と「質(日当円)」の掛け算として捉える考え方を軸に、データ分析と現場への働きかけを組み合わせる必要性を示した。
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■存続危機の時代と経営可視化の必要性
講演の冒頭、関塚氏は「日本も、そして医療施設も存続の危機にあります」と呼び掛けた。2040年に向けて、高齢者人口のピーク、多死社会、85歳以上の人口急増、救急医療のひっ迫、働き手不足による倒産が同時進行する。こうした状況を踏まえ、地域のニーズや競合施設、自院の人員、機能を正確に把握する必要があるとした。
こうした環境に対応する経営ツールとして紹介したのが、「セコムSMASH」である。入院・外来の収入、平均在院日数、延べ患者数、患者単価などを、診療科別・病棟別・入院経路別に多角的に分析できる。DPCデータだけでなく地域包括ケア病棟、回復期病棟、療養病棟も対象とし、出来高病院でも活用できる。セコムグループの提携病院での実務の中で発展してきた、文字通り「現場起点」の経営分析システムである。
■収益の可視化と経営管理への組み込み
関塚氏自身、埼玉病院の院長を7年半にわたって務め、「セコムSMASH」を愛用していたが、中でも「トレンド」と「ファクタライズ」を中心にチェックし、要因を深堀していたという。「トレンド」では、数年間の収入構成や患者数、単価の変化を視覚的に把握できる。診療科ごとの外来患者数が減って収入が落ちているのか、入院収入が補っているのかを一画面で確認でき、「人の配置や設備投資をコントロールしていく上で大きな判断材料になります」と述べた。入院では、月々の限界利益の推移も評価でき、材料費などの変化も把握できる。
循環器科の医師が一時的に減少した時期の収入落ち込みと回復の過程が一目で把握できたり、コロナ禍で減少した入院患者数が「救急→紹介→外来」の入院経路の順に回復し、こうした変化を一目で把握できることを紹介した。
「ファクタライズ」では、収益の増減要因を診療科別、疾患別、出来高部分などに分解して俯瞰できる。ウォーターフォール形式で増減の幅を示すことで、どの診療科が病院全体の収益をどの程度押し上げ、どこが下振れしているのかを把握しやすくなる。例えば「24年度と25年度の比較で循環器科が全項目でプラスとなり、新入院患者数の増加が主因である」といったことが一目瞭然となる。
さらに、こうした分析結果の活用は、「経営層が数字を確認するだけでは完結しない」と関塚氏は訴えた。幹部会議、診療科ヒアリング、管理診療会議、診療科部長面談などに用いて気づきや行動変容につなげることを強調。関塚氏自身、部長クラスが出席する管理診療会議では、1~2週間前に質問資料として出席者にあらかじめ提示し、病院全体の傾向と診療科ごとの変化を見比べながら、原因や対応策を現場に事前に考えてもらう流れを構築していたという。
■算定漏れ防止と収益改善余地の把握
「セコムSMASH」には、導入している他の医療機関とのベンチマーク機能も備わっており、加算・指導料の算定状況を同規模病院と比較することで、取りこぼしを可視化できる。これに基づいて取り組んだ例も紹介した。
関塚氏が院長を務めていた頃、埼玉病院ではブランチラボ化の際に「外来迅速検体検査加算」の算定が漏れていたことが判明し、算定再開により年間約2000万円の増収につながったという。全件補正した場合の増収額は、少なくとも年間1億円規模になるとの試算も出た。
「薬剤管理指導料」も同様で、入院時・退院時の算定漏れが生じやすいと注意を促した。退院時の各種指導料・加算を合わせると約3300点相当となり、「地域連携の質向上と収益改善を両立できる」と振り返った。さらに、土日リハビリを平日と同水準で実施したところ、年間約8000万円の増収効果があるという。「リハビリスタッフ10数人分の人件費に相当する」と、その効果の大きさを強調した。
■地域連携の可視化から営業活動へ
「セコムSMASH」は、地域医療連携の状況の可視化にも寄与する。紹介元施設別の患者動向を地図上で把握し、距離帯別の入院患者・救急搬送患者の分布、紹介件数と逆紹介件数のバランスを分析できる。関塚氏は、地域シェア25%が首位の最低条件、40%が独走条件との目安を示した上で、まず3km圏内の患者獲得強化を優先課題として挙げた。ボロノイ勢力図の作成事例も紹介し、「新入院患者を20%獲得するとすれば、どのエリアが最も効率的か」を試算し、人口密集エリアを優先営業エリアとして特定した事例が示された。
可視化したデータを現場の施策に変える手立てについても、関塚氏は自身の実践を踏まえて紹介した。「過去1年間で一度も紹介のない近隣診療所」をリストアップし、潜在的な貢献額を試算すると10億円規模になったという。紹介元診療所別に手術あり症例の割合を分析したところ、整形外科診療所からの紹介は平均97%が手術ありと判明。そこで「まず整形外科診療所と近隣病院への院長訪問を優先する」という営業方針を固めたという。さらに、外科医が自ら診療所を訪問したことで、紹介件数が1.5倍、がん手術件数が2倍に増えたことも紹介した。
関塚氏は、得られたデータを会議・面談・現場改善・地域連携の実践に生かし、地域に選ばれ、地域を支える病院であり続けるための経営基盤として位置付ける重要性を訴えた。
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